理事長挨拶

一般社団法人日本脳卒中学会理事長 藤森茂

一般社団法人日本脳卒中学会
理事長 藤本茂

 このたび,小笠原邦昭先生の後任で日本脳卒中学会理事長を拝命いたしました自治医科大学の藤本茂でございます.伝統ある学会の理事長を務めるに際し,身の引き締まる思いです.

 脳卒中は日本人の死因の第4位,寝たきりの原因の第2位を占めるcommon diseaseであり,超高齢社会に突入したわが国において,オールジャパンで取り組むべき疾病の1つです.現在は,国が策定する「循環器病対策推進基本計画」と,日本脳卒中学会と日本循環器学会とが合同で展開する「脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」が両輪となって,様々な施策が実行されています.そして,今後ますます日本脳卒中学会への期待と果たすべき役割が大きくなると思われます.他学会,多職種,市民団体,行政と連携し,脳卒中医療・ケアの向上に貢献していく所存です.

 そこで,まず行うべき施策を以下のように掲げました.

  • 日本循環器学会と連携した脳卒中と循環器病克服第三次5ヵ年計画の発展
  • 脳卒中治療ガイドライン改定と診療報酬改定との連動
  • 脳卒中協会,SCPA-Japanと連携した積極的な広報活動
  • PSC認定制度の充実とPSC年次報告の有効活用
  • 脳卒中専門医制度の充実
  • 学会誌の充実と国際誌の発刊
  • 脳卒中相談窓口と脳卒中心臓病等総合支援センターの発展
  • 地域における多職種連携の強化
  • 診療報酬改定への継続的取り組み
  • 医療DXへの参画
  • 人材育成と会員増のための学生・研修医教育プログラムと情報発信

もちろん他にも多くの課題はございますが,これらのことは遅滞なく取り組むべき重点事業と考えています.

 これらの課題にひとつひとつ取り組んでいくために,学会内に多くの委員会やプロジェクトチームを組織しています.日本脳卒中学会は,脳神経外科,脳神経内科,リハビリテーション科,放射線科など診療科横断的な組織であることも大きな特徴です.さらに,先々代理事長の宮本享先生,先代理事長の小笠原邦昭先生のご尽力により,専門医だけでなく,非専門医や多職種との連携を深める環境が整ってきております.それらの強みを活かし様々な考え方や経験を共有しながら議論を深めていく舵取りが私に課せられた役割であると考えます.

 多くの方々のお力添えを賜りながら,日本の脳卒中医療の発展,脳卒中患者とその家族の生活の質の向上のためにひとつひとつの課題に丁寧に取り組んでまいります.どうぞよろしくお願い申し上げます.