脳卒中高次脳機能スケール(JSS-H)
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- [脳卒中高次脳機能スコア計算用調査票について]
- 評価項目は注意・集中力,近似記憶(学習能力),見当識,遠隔記憶,言語,図形構成,類似性問題,計算,考えの切り換え,行動・意欲の10項目である.各評価項目のカテゴリー数は全て(A, B, C)の3つよりなっている.
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- [調査票の使用法]
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- 1)
- 各項目の該当カテゴリーをA, B, Cの中から選び,右側にある該当の枠に○を入れる.
- 2)
- ○の入った枠の右側に示されている数字を合計する.
- 3)
- 最後にconstantの値14.00を加える.
- 4)
- 以上の計算で得られた数値が重症度スコアで-0.25~33.31の間の値を取る.
注:
- 検査不能の項目は最も悪い値(BあるいはC)をつける.
- 治療の目的上検査が望ましくない項目は主治医の推定したカテゴリーの値を入れる.
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- [JSS-H使用に際しての注意事項]
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- 1)
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注意・集中力
- まず練習として“25”“73”など2桁で行い,やり方を理解してもらう.
この練習段階でできなければ“C”と評価する. - 2課題ともできた場合,その桁数が“できる”と評価する.
近時記憶検査の準備
- ここでは呼称のみ行い,見当識,遠隔記憶の検査後に想起してもらう.
- “傘”“鉛筆”“はさみ”“メガネ”“電話”の5枚の絵カードを順次示し呼称してもらう.
各10秒で中止する. - 呼称しえなかった場合は,「これは…です.同じように言って下さい」と言い,検査者が呼称し復唱してもらう.
復唱できない時は3回まで検査者が呼称し,復唱をうながす.それでも復唱しえない絵があった場合,「近時記憶(学習能力)」は“C:0個”とする.
- まず練習として“25”“73”など2桁で行い,やり方を理解してもらう.
- 2)
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見当識
- 年月日は一日のズレは正解とする.
- 3)
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遠隔記憶
- 出生地は都道府県名で可.
- 配偶者名と子供数は“いない”という答えもある.
- 4)
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近時記憶
- 制限時間は30秒
- 5)
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言語
- 復唱
- 「私が言うことを繰り返して言って下さい」と言い,課題を比較的ゆっくり(5~10秒)言う.正しく復唱できない場合は,もう一度,上記を繰り返す.
- Word Fluency
- 30秒間で10以上を可とする.
- 十二支のような,ひとつのセットとなったものは不可.
- 呼称
- “算盤”“囲碁”“蝶”“足袋”“イカ”の5枚の絵カードを順次提示し呼称.
- 各10秒で中止.
- 全て呼称しえた場合,この項目が“可能”と評価.“囲碁”は“碁”も可.
- 復唱
- 6)
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図形構成
- 後部脳領域の機能に関する項目.
- 課題は図1の課題図を示し行う.
- 反応カードは常に5枚提示する.
- 練習課題ができない場合は,検査者が実際にカードで作りながら説明する.無反応の場合は「同じように作ってください.」と2回まで促す.1分間待っても無反応ならば“できない”と評価する.
- 課題の遂行が続いているが正解に至らない場合は3分間で中止し,“できない”と評価する.
- 7)
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類似性問題
- 意味,概念に関する項目.
- 正しい答えが出ない場合は正答を例示して後,次の課題に移る.
- 一定の正解はなく,様々な正解がありうる.“理屈”がついていればよく,正誤は検査者が判断する.例:“馬―麦”は“生物”“食べられる”など.
- 8)
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計算
- 暗算で行う.
- 9)
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考えの切り換え.図2のごときカード(実際は黄色,赤,青のカラーカード)を使用.
- 前頭葉機能に関する項目.
- 無反応の場合は2回迄促す.1分間待っても無反応ならば“できない”と評価する.
- 課題の遂行が続いているが正解に至らない場合は3分間で中止し,“できない”と評価する.
- 10)
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行動・意欲
- 「図形構成」ないし「考えの切り換え」における課題の遂行状況で評価する.
※出典:脳卒中 23:285,290-291,2001